停电真好停電って素晴らしい
城区突然停电。男人和女人像丢了魂,心里空落落的。
市内で突然停電が発生した。男も女も魂が抜け、心にぽっかりと穴が開いたかのようだった。
女人捏着遥控器,望着电视发呆。男人则像个耗子,撞来撞去。一会看看电脑,一会按按开关。他明知道没来电,还是要这样折腾。男人很寂寞,寂寞的男人长叹一声,把自己扔进沙发里。
女は手にリモコンを握りしめ、テレビを眺めて呆然としていた。男はネズミのようにウロチョロしていた。パソコンに目をやり、電源を押してみる。電気はないと知っていても、そうしない訳にはいかなかったのだ。男はとても寂しく感じ、寂しい男は嘆きの声をあげて、ソファに倒れ込んだ。
夜幕降临。室内暗色凝重。
夜が更けてきて、室内は暗闇に沈んだ。
男人绝望地唉了一声:“不会来电了。”
男は絶望的に叫んだ「電気は来ないよな」
女人痛苦地唉了一声:“不会来电了。”
女も苦しそうに叫んだ「電気は来ないのよね」
男人女人大眼瞪小眼,在黑暗中无语苦捱。女人对男人说:“睡了。”男人对女人说:“睡吧。”男人女人怏怏走向卧室。
男も女も互いを見やって、暗闇の中言葉もなく、苦り切っていた。女は男に「寝ましょう」と言った。男は女に「寝よう」と言った。男と女は面白くなさそうに寝室に向かった。
男人女人睡不着,瞪着眼睛想心事。
男も女も眠ることができず、目を見開いて考えを巡らしていた。 每天这时,男人一定在电脑前,浏览网页;女人一定在电视前,看连续剧。他们有各自的天地和爱好,他们互不干涉。今晚,无情的停电剥夺了这一切,把他们早早地按在了冷清清的床上。
毎日この時間には、男はいつもパソコンの前にいて、ネットサーフィンをしていた。女は必ずテレビの前にいて、連続テレビドラマを見ていた。彼らは各自の世界と趣味を持ち、互いに干渉することはなかった。今晩、無常にも停電がすべてを奪ってしまい、彼らを早々に冷たいベッドの上へと押しやったのだ。
这可恶的电。男人女人心里骂着。他们睡不着,睡不着的他们就有一嘴没一嘴闲谈。男人说:“电的作用太大了。没有电,不能看书写作,不能看网页。”女人说:“是啊!没有电,冰箱电饭煲不能用,电视也不能看。”男人女人围绕着自己的话题抒发着感慨。
こん畜生の電気め。男も女も心の中で罵った。彼らは眠れず、眠れない彼らはボソボソと言葉を交わした。「電気の役割は大きすぎるよ。電気がなくちゃ、本も読めなければモノも書けないし、ネットだって見れない」と、男は言った。「そうよね、電気がなくちゃ冷蔵庫だって、炊飯器だって使えないし、テレビだって見れないもの」と、女は言った。男と女は自分の関心事に重ねて感慨を述べた。
夜深了,他们还是睡不着,似乎在等待着什么。
夜が更け、彼らはやはり眠れず、まるで何かを待っているかのようだった。
男人又若有所思:“哎! 以前什么都没有,只是干活睡觉,真不知是怎么熬过来的。”“这不是熬过来了吗?孩子都恁大了。”女人回。
男はまた何か考えている様子で、「ああ、以前は何もなかったな。ただ仕事をして眠るだけで、どうやって耐えてきたのか、分からないよ」「どうにかやってきたじゃない。子供だってこんなに大きくなったんだし」女が答えた。
是啊!是啊!提到孩子,男人女人发出了一样的感慨。他们想起了过去的岁月。想到了艰辛,也想到了甜蜜。男人和女人兴奋地坐了起来,嘻嘻哈哈地聊,他们似乎忘记了停电带来的不快和懊恼。
そうだ、そうだ。子供のことを思い出すと、男も女も同じような感慨にふけった。彼らは今までの歳月を思い出した。思い出すのもつらく、また幸せな思い出でもあった。男と女は興奮して座り直し、あれやこれやと楽しそうにしゃべり始め、電気がないという不愉快と悩みを忘れてしまったかのようだった。
男人看着夜色中的妻子,猛然觉得:和妻子这样唠嗑交流,似乎是很遥远的记忆了。
男は夜の光の中で妻を見て、突然感じた。「妻と以前にこのように世間話をしたのは、はるか昔だったような気がする」
男人单位效益不好,提前内退了。男人很沮丧,感到人生虚度。男人爱好文学,回家后的男人立誓要写点东西,以弥补人生的缺憾。男人购置了电脑,有了电脑,男人就有了寄托,也感觉年轻了许多。
男の勤める会社は成績が振るわず、事前退職していた。男は気落ちしており、人生がむなしいものだと感じていた。男は文学を好み、家に戻った男は何かを書いて、人生の欠落感を補おうという誓いをたてた。男はパソコンを買った。パソコンを買うと心の拠り所を得たような気がして、ずいぶん若返ったように感じた。
女人反而感觉自己老了。男人一天天地抱着电脑看,贪黑起早地学,没日没夜地写,恨不得一天写出一本书来。女人理解男人,但无法理解男人对自己存在的漠视。女人认为:自己真的老了。
女は逆に自分が老けたように感じた。男が毎日パソコンにくぎ付けで、早朝から深夜まで勉強し、昼夜を問わず書き続け、毎日1冊本を書き上げるかの勢いであった。女は男のことを理解していたが、男が自分の存在を無視することについては理解できなかった。女は自分が老けたからだと思った。
女人幽幽地说:“你娶了电脑休了我吧!”男人淡淡地回:“扯淡! ”
女は「あなたは私を離縁してパソコンをお嫁さんにしたらいいわ」とふざけて言うと、男は淡々と「バカ言うんじゃない」と言った。
女人心疼男人。削好了苹果。
女は男を大切に思っていた。リンゴの皮を剥いた。
男人眼盯着屏幕:“放那儿吧。”
男はスクリーンをにらみながら、「そこに置いてくれ」と言った。
女人端来了果汁。
女はジュースを持ってきた。
男人敲着键盘:“放那儿吧。”
男はキーボードを叩きながら「そこに置いてくれ」と言った。
女人突然从后面搂住了男人。
女は突然、後ろから男を抱きしめた。
男人想也没想:“放那儿吧。”突然感觉有问题,又接着说:“别捣蛋。”
男は考えもせず、「そこに置いてくれ」と言い、突然少し変に感じて、さらに「ふざけないでくれよ」と言った。
女人生气。女人没意思。没意思的女人就回到卧室看电视。女人爱看韩剧,慢慢地,她被韩剧迷住了。她喜欢剧中充满温馨的家庭氛围。
女は怒った。女は退屈していた。退屈な女はすぐ寝室にテレビを見に戻った。女は韓国ドラマを見るのが好きで、しだいに韓国ドラマファンになっていた。彼女はドラマの中に満ちている温かな家庭の雰囲気が好きだった。
女人常常被剧情感动得默默落泪,女人摇头,不知是为自己还是为别人。
女はしばしばドラマを見てそのストーリーに涙し、頭を振った。これは自分のための涙か、他人のための涙か分からなかった。
夜一寸一寸下去。男人女人还是不想睡,也没睡意。他们就是聊,他们越聊越开心,越开心就越想聊。他们从恋爱聊到结婚;从孩子出生聊到孩子长大。他们沉浸在浪漫的回忆中。似乎这停电就是为他们精心安排的。
夜はどんどん更けてゆく。男と女はやはり眠りたくなかったし、眠くもなかった。そこで彼らはしゃべり、しゃべればしゃべるほど楽しくなってきて、楽しくなればなるほど、ずっとしゃべっていたくなった。彼らは恋愛から結婚、子供が生まれてから成長するまでのことをしゃべった。彼らはロマンチックな追憶にひたっていた。この停電は彼らのために気をきかせてセッティングされたものかのようだった。
男人把女人的手放在手中摩挲着,女人偎过来,歪在男人的胸脯上。
男は女の手をとり、手の中でさすって、女は寄り添い、男の胸の上にもたれかかった。
女人说:停电真好。
女は言った。「停電って素晴らしいわね」
男人说:夜色真美。
男は言った。「夜って美しいな」
翻訳にあたって
男人、女人の訳として、ここでは男、女と訳したが、一般的には男、女という呼称を使うと、二人の関係性について性的な雰囲気を強調する感じになる。この主人公たちはもう中高年の男女なので、多少の違和感もあるが、これは夫婦という「男と女」の関係性についての物語ともいえるので、男、女という訳語でよいと考えた。
翻译提示
关于“男人”“女人”的译法,在本文中处理成了「男」「女」。其实在日语中,使用「男」「女」这一称呼时,多是强调二人间的关系带有情欲色彩。而文中的主人公已经是中老年男女,使用这一称呼会略感不谐调,但从文章内容来看,这又是在讲述夫妻关系这一特殊的男女关系,所以译作「男」「女」也比较贴切。
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